
化粧品の全成分表は、配合量の多い順番に記載されていることは知っている人も多いルールですよね。
しかし、ある成分から突然順不同・順番になっていることはご存知ですか?
そこにはメーカー側の「イメージ戦略」という大人の事情も絡んでいるんですよ...。
2001年の薬事法が改正され医薬部外品を除くすべての化粧品に、全成分表示が義務付けられました。
現在、化粧品、ヘアケア製品などの製品詳細はすべてパッケージに記載されています。
1 化粧品の全成分表示の表示方法は、以下のとおりとするので、貴管下関係業者に対し指導方よろしく御配慮をお願い致します。
(1) 成分の名称は、邦文名で記載し、日本化粧品工業連合会作成の「化粧品の成分表示名称リスト」等を利用することにより、消費者における混乱を防ぐよう留意すること。
(2) 成分名の記載順序は、製品における分量の多い順に記載する。ただし、1%以下の成分及び着色剤については互いに順不同に記載して差し支えない。
(3) 配合されている成分に付随する成分(不純物を含む。)で製品中にはその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないもの(いわゆるキャリーオーバー成分)については、表示の必要はない。
(4) 混合原料(いわゆるプレミックス)については、混合されている成分毎に記載すること。
(5) 抽出物は、抽出された物質と抽出溶媒又は希釈溶媒を分けて記載すること。ただし、最終製品に溶媒等が残存しない場合はこの限りでない。
(6) 香料を着香剤として使用する場合の成分名は、「香料」と記載して差し支えないこと。
引用元:厚生労働省ホームページ ◆平成13年03月06日医薬監麻発第220号医薬審発第163号「化粧品の全成分表示の表示方法等について」
難しいと思われがちな化粧品成分の見方を3つのシンプルなルールで解説しています。
読み方がわかれば、自分に合う化粧品・合わない化粧品を見つけやすくなりますよ。
またイメージ戦略に惑わされずに本質を見極めるための知恵を学んでいきましょう。
【知らないと危険?】化粧品の成分表示には3つのルールがあります
まずは、全成分表示の基本のシンプルルールをおさえましょう。
化粧品の全成分表を読むためのポイント
- 成分名の記載順序は、製品における分量の多い順に記載する
- 1%以下の成分及び着色剤については、順不同に記載してOK(植物エキスなど、イメージの良いものは前の方に表示することもある)
- 香料や防腐剤などは、後ろの順番に記載することが多い
成分名の記載順序は、製品における分量の多い順に記載する
成分名の記載順序は、製品における分量の多い順に記載することが1つめのルールです。
化粧品の全成分表は、配合量の多い順番に記載されていることは知っている人も多いルールですよね。
1%以下の成分の順序は、化粧品メーカーの自由な裁量で表記できます。
馴染みのある植物の名前がつけられた植物成分は植物の名前がつくものは前のほうへ、化学的なイメージがあるものは後ろのほうへ、という記載順も比較的多く見られます。

配合量1%の境界線はどうやって見分けたらいい?
1%以下の成分及び着色剤については、順不同に記載してOK
1%の境界線の | 成分例 | 理由 |
植物エキス | コメ発酵液 | 1%以下で充分な効果を得られるので 1%以上配合しません |
保湿成分 | ヒアルロン酸Na類 (サクシニルアテロコラーゲンなど) | |
品質向上 安定化成分 防腐剤 増粘剤 酸化防止剤 キレート剤 | EDTA-2Na |

「植物の名前+エキス」の表示の成分あたりからが1%の境界線
平たく言えば、多くの場合「植物の名前にエキス(液)がついたもの」あたりが境界線です。
植物エキスは、1%以下で充分な効果を得られるので、1%以上配合しません。
「植物の名前+エキス」の表示の成分あたりからが1%の境界線であることが多いですね。
全成分を色で分類
成分:水、ミリスチルアルコール、ジメチルステアラミン、ベヘニルアルコール、マカデミアナッツ脂肪酸エチル、アスパラゴプシスアルマタエキス(紅藻エキス)、グリセリン、BG、サッカロミセス/コメ発酵液、ソルビトール、アスコフィルムノドスムエキス、ラミナリアオクロロイカエキス、カラフトコンブエキス、スサビノリエキス、マコンブエキス、ヒバマタエキス、プラセンタエキス、加水分解ケラチン(羊毛)、オリーブ果実油、シア脂、ホホバ種子油、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、アジピン酸ジイソブチル、サンゴ末、タナクラクレイ、ヘマチン、メントール、炭、海塩、エタノール、乳酸、リンゴ酸、トコフェロール、フェノキシエタノール、香料、カラメル
化粧品メーカーによっては、配合量順に記載する場合もありますが、基本的にパッと見で印象が良さそうな植物エキスなどの成分を前のほうに並べる場合を多く見かけます。「香料」など添加物のようなイメージの悪いものは後ろのほうへ表示されていることが多いようですね。
上記の例の場合は「コメ発酵液」が境界線となります。
保湿成分「ヒアルロン酸Na類」「コラーゲン類」あたりからが1%の境界線
「ヒアルロン酸Na類」「コラーゲン類」などの保湿成分も、基本的には1%以上配合しません。
例えば、サクシニルアテロコラーゲンなどは、品質向上・安定化成分・防腐剤・増粘剤・酸化防止剤・キレート剤などの成分は、化粧品の品質を保持したり、安定化させるもので、ほとんどの成分は1%以下で十分効果を発揮します。
あくまで目安なので、例外はあります。
しかし、だいたいこの3つのポイントで1%の境界線を見極めると化粧品成分の配合成分をイメージすることができます。
香料や防腐剤などは、後半に記載することが多い
着色剤は配合量にかかわらず、全部最後にまとめて記載してあります。
あるいは、入っていることが特長にならないような成分は、後半に記載する傾向です。
スキンケア化粧品で使う着色剤は非常に少量です
例外もあって、着色剤や香料として配合していても、その成分の印象がよいので前のほうに記載する会社もあります。
カテゴリー | 成分例 | 詳細 |
着色剤 | 赤201 | 人体への安全性が確認されているもので、83種類あります。 |

例えば、植物エキスや植物の果皮油、ビタミンB類(リボフラビンやシアノコバラミン)などは、香料や防腐剤の作用もありつつ、イメージが良い成分なので前半に記載される傾向です。
こうなるとルールはあってないように聞こえるかもしれませんが、決してルール違反ではありません!
化粧品メーカーの「ブランディング(イメージ戦略)」であり、企業努力なのです◎
【わかりにくくて敬遠しがち?】化粧品に表記する成分名のリスト
元素記号もカタカナもあり日本化粧品工業連合会では、化粧品に表記する成分名のリストを作っています。
ナトリウムはNa、カリウムはKと元素記号で表記する
ヒアルロン酸Na = ヒアルロン酸ナトリウム グリチルリチン酸2K = グリチルリチン酸ジカリウム 基本的には、ナトリウムはNa、カリウムはKと元素記号で表記することになっていますが、ただし書きがあり、カタカナでもよいとされています。

配合目的によって表記の順番が変わる
白い粉末の「酸化チタン」の場合、白い色をつけるために着色剤として入っていることもあれば、紫外線散乱剤として使われることもあります。
着色剤として入れた場合は、末尾に記載されます。
成分名 | 配合目的 | 掲載順番 |
酸化チタン (白い粉末状) | 着色剤 | 末尾に記載 |
紫外線拡散剤 | 1%以下の扱い |

薬用化粧品を含む医薬部外品の化粧品成分表示ルール
医薬部外品は化粧品のような全成分表示の義務がありません。
だから表示指定成分以外の配合成分を表記する場合、配合量に関係なく、順番も自由に表記できます。
実際は、化粧品の業界団体が自主的に設けたルールにより多くの薬用化粧品は全成分を表記しています。
成分の名称を記載しなければならない医薬部外品の成分については、薬事法(昭和35年法律第145号)第59条第6号及び第61条第4号の規定に基づく、「薬事法第59条第6号及び第61条第4号の規定に基づき名称を記載しなければならないものとして厚生労働大臣の指定する医薬部外品及び化粧品の成分」(平成12年厚生省告示第332号。以下「告示」という。)において示しているところである。
引用元:厚生労働省ホームページ「◆平成19年03月07日薬食発第307001号 名称を記載しなければならない医薬部外品の成分の別名等について」
しかし名称を記載しなければならない医薬部外品の成分のリストがあり、その表示指定成分を表記することがルールになっています。
化粧品と医薬部外品では成分の呼び方が違う?

化粧品の全成分表示で、「水」と書いてあったり「精製水」「常水」などと書いてある時もありますよね。
同じものであっても、中にはまったく別の名前で表記される成分もあります。
厚生労働省が、医薬部外品に配合して良い成分を一覧表にまとめています。 非常に細かい分析をしているので、数値の違いから同じ水での同じ水でも 医薬部外品では「精製水」、化粧品では「水」と表記されているのです。
医薬部外品での表記 | 化粧品での表記 | |
ベース成分 | 精製水 | 水 |
保湿剤 | 3-ブチレングリコール | BG |
保存料 | パラオキシ安息香酸エステル | メチルパラベン |